東京大医科学研究所の研究チームがまとめた結果によれば、急速に拡大する新型コロナウイルスの新変異株「JN・1」は、免疫をかいくぐる能力が高く、感染が強力に拡大する可能性が指摘されています。今回はその詳細に迫ります。
JN・1の特徴
JN・1は、オミクロン株の派生株「BA・2」から変異したウイルスで、2023年11月ごろから感染が広がり、WHOによって「注目すべき変異株（VOI）」に指定されました。国内での検出割合が急速に増加しており、その特性が注目されています。
実効再生産数の高さ
研究結果によれば、JN・1の実効再生産数は現行の変異株よりも1.2～1.4倍程度高いことが明らかになりました。これは感染がどれだけ広がりやすいかを示す指標であり、JN・1が強力な感染力を持っていることを示唆しています。
高い感染力と抗体への逃避能力
培養細胞を用いた実験では、JN・1が「BA・2・86」よりも約2倍の感染力を持つ可能性が浮上しました。また、ワクチン接種者の抗体から逃れる力は、先行のピロラ株の3.6～4.5倍に上り、新型コロナに感染した場合の体内抗体への逃避能力も3.8倍に達しています。
今後の展望
研究チームは「JN・1が全世界に拡大し、流行の主体になる可能性が懸念される。有効な感染対策が急務であり、注意が必要だ」と警告しています。この結果がランセットの姉妹誌に掲載され、国際的な注目を集めています。
新型コロナウイルスに対する感染対策が一層求められる中、JN・1の特性を理解し、迅速かつ効果的な対策の展開が求められています。
